精華町は栗が名物、なんてことはありません。
畑や、余った土地に植えて家族で楽しんだり、食べきれないからJAの直売所に少しだけ卸している人もいるけれど、気候風土と栗が合わないから主力として生産していないんです。
それに、栗は手入れが超大変で沢山育てるなんてなかなかの根性が・・・。
それなのに「栗」の事を書こうと思います。
何より私、栗が大好きでこの時期はほぼ毎日栗を食べてます。
そして、我が家には「栗山」があって、ちょうど今最盛期を迎えているからデス。
この栗山は精華町にはなくって、京都府唯一の村「南山城村」にあります。
なぜ、南山城村に栗山があるかについては、栗のホームページを作ったのでそちらもご覧ください。
ホームページと内容は少し重なるけど、栗山の事や栗について語ってみたいと思います。
栗山のこと
では、最初に我が家の「栗山」なんだけど、本当に山なんです。
父が山を購入してその斜面に生えていた木々を伐採、木の根を取り除きその後栗の木を植えたんです。
そして今、その本数はきっと2~300本!
毎年枯れるから、毎年植えるを繰り返しているから今や、正確な本数は不明です。
だから、早生、中生、晩生と多品種を植えているから収穫時期も長く、豊年の時は8月下旬から10月中旬頃まで収穫が続くように色んな品種を植えています。
栗の品種はものすごくあるようだけど、我が家は栗本来のうま味が感じられ大粒という事を重視して、、丹沢、ポロタン、銀よせ、利平、岸根、紫峰、秀峰などになっている。
ただ、食べる楽しみの前には、収穫という大変な苦労がある。
先にも書いたように我が家は「栗山」なので、その収穫が半端ない重労働。
山の頂上までは鍛え上げたスポーツ選手でも、2往復目はダッシュで登れないほど。普段のんびりした生活をしていたら、ただ上るだけでも足をとられてズレ落ちてしまうくらいの急斜面。
だから、栗農家さんは出来るだけ平地に栗を植えるんですね。
じゃないと、「栗拾い」お客さんは来ないと思うし、収穫して出荷なんてやってられないですよね。
まぁ、そんなこととは知らずに「栗を植えよう!」じゃあ「山を買おう!」と、思い立ったらすぐに突き進むのがウチの親父で、この事を知った時には時すでに遅し。
今となっては仕方ないからそのまま育ててる感じです。
「栗」はとっても手間がかかる
実は栗って年中手がかかるって知ってました?
私は栗が大好きで、あこがれの「栗拾い」をして食べることばかり考えてました。
時期が来るとイガに包まれた実が成り、食べごろになるとイガから顔を出した栗が地面に落ちて、それを拾うだけと、栗拾いに憧れていました。
取り放題だったらいいのにな~とか、大きい栗だけ拾いたいわ~などと思っていたのです、栗山が出来るまでは・・・。
でも、父が10年ほど前からつくり始めて色んな話を聞いたり実際に私も少し手伝ったりする中で、これはとんでもない重労働、過酷そのもの!と感じています。
そしてようやく、ネットに入れられて店頭に並んでいる栗が結構いいお値段という事がわかりました。
私は収穫の手伝いしかしないので、詳しいことは分からないけど、父との会話から大まかにどんな作業をするのかザックリ紹介しますね。
イガ拾い
先ず、栗の収穫が終わってからなんですが、いきなり次の作業「イガ拾い」が待ってます。
栗の実が入っていない「イガ拾い」なので、全く心が躍らない、ワクワクしない、楽しくない。
でも、木に残っているイガや拾っていないイガをひたすら集めて回るんです。
イガはなかなか土に帰らないんです。だから、拾っておかないと後の作業の邪魔になるので下草か生えていないこの時期に拾い終わっておく。
剪定と肥入れ
そして、冬の時期になると剪定。
我が家の栗山は標高500m程の高原にあって冬は雪が積もり、風が吹き晒します。
その中での剪定が、翌年の栗の出来に大きな影響を及ぼすらしいです。同時に肥やりももちろんあります。
もちろん、私は出来ないし、やったことないですが、今のところ親父が頑張ってやってます。
そして、春ごろから新芽が出はじめ成長し出すと、下草が伸び始めるので草刈り。
害虫駆除
そうこうしている内に、初夏となるころに害虫駆除の作業です。
栗の皮を突き破って入り込む「ゾウムシ」なんですが、本格的な栗農家さんもコレに頭を抱えているようです。
虫がついてしまうと品質がガタンと落ちてしまうし、そもそも収穫できないので売られている栗はかなり消毒を繰り返されている様です。
因みに我が家は、出荷は目的ではなく自家消費のためなので限界まで消毒回数を減らしているので安心して大量に食べてます。
水やり
消毒と同時に水やりも待っています。
山は急斜面でしかも真砂土。つまり、水はけが良すぎるので、水やりが欠かせないとか。
冬は寒く辛そうだけど、夏の作業は楽そう!しかも水やりなんて涼しそうでいいじゃない。と思っていませんか?
それはとんでもない大間違いで、草刈りも害虫駆除も機械を伴って足場の悪い所を行ったり来たり。水やりに至ってはホースが絡まったり引っ掛かったりで・・・。しかも、山は日影がな炎天下の直射日光。最近、特にこの3年程は高原特有のカラッとした空気も無く、風も吹かないから、それは大変なようです。
草刈り
そして、収穫直前になると収穫に向けた草刈りが待っている。
先にも書いたように草刈りは年間通して頻繁にするようです。特に収穫前の草刈りは必須です。
だって、栗が落ちても草が伸びていたら拾えないので絶対に買っておく必要があるんです。
私は、収穫以外は全く手伝わないのでとてもザックリですが、そのザックリな情報だけでも大変さって分かりません?
だから栗って高いんですよ~、納得されました?
「栗拾い」最後の難関
これだけの手間をかけて、収穫時期を迎えると待ち受ける難関があります。
その難関とは、山に住む動物達です。
主にリスらしいのですが、シカやイノシシといった様々な動物が栗を狙ってやってきます。
そして驚くことに、彼らは色・カタチや成熟度のイイものを優先して食べるんです。
山には柵を張り巡らし易々と侵入出来ないようにしているけど、リスには全く効き目がなく驚くほど沢山横取りされてしまってます。
まあ、コレも仕方がないです。
だって、美味しいものはみんなが好きですから。(笑)
何度も言いますが、栗って本当に大変なんですよ!
「栗」は食べるにも手間がかかる
美味しいし、秋の味覚の代表だし、栗が乗っているデザートを見てるだけで幸せになるし、多くの人が好き!っていう「栗」。
でも・・・、買っても、採っても、貰っても、イザ食べるとなると手間がかかる「栗」。
イガは別として、栗には鬼皮と渋皮がついていて、何がで火を通さないと食べられない。
ゆで栗、焼き栗、栗ご飯、栗きんとん、渋皮煮、甘露煮、マロングラッセ・・・どれも手間がかかる。
ただ、茹でて食べるだけでも皮と格闘するけど、渋皮煮ともなると気が遠くなるなんて思いませんか?
渋皮煮や甘露煮のように砂糖の力を借りて、保存して楽しむものいいけど、シンプルに塩茹でして温かいうちに食べるのが栗本来の甘味を感じるって思うんです。
そこで、我が家の栗のゆで方をご紹介します。
材料は、➀栗は新鮮なものか、新鮮なモノを熟成させたもので!➁塩
まず、栗をよく荒います。
熟成させたものはもしかすると表面が滑っているかもしれないので滑りをとるようにします。
次に、鍋に栗を入れて、覆いかぶさるほどの水を入れて塩を入れる。
塩の量は、栗の量や水の量、鍋の大きさによるけど、大抵大さじ1/2から1でいいと思います。
そして、蓋をして中~強火で沸騰させ、沸騰したら蓋を取らずに弱~中火にして20分コトコトと茹でる。
20分たったら出来上がりなので、ザルにとって湯切りをしたら適当に冷まして食べます。
ポイントは、塩は気持ちだけ多めにすることと、沸騰してからはコトコト茹でることです。
栗はデンプンなので、グラグラと煮てしまうとデンプンがバランバランになって実が崩れます。
こうなると、スプーンでしか食べられないので美味しくないんです。
スプーンは金属なので金属が口に当たると美味しい度が半減してしまいます。
なので、出来れば丸ごと一粒口に入れた方が幸せと美味しさを存分に楽しめます!絶対に!!
丸ごと食べるには、鬼皮をむいてから渋皮をむくのですが、新鮮又は新鮮な栗を熟成させてこの方法で茹でたならば、、、
渋皮は驚くほどスルッと剥がれます。
ポイントは、塩は気持ち多めで、お湯はコトコトです。
是非、ゆでたてを一粒丸ごと食べてみて下さい!
今年の「栗」の出来栄えは?
最後になりましたが、天候不順で収穫量はいつもの十分の1程度。
品種によっては全くゼロ。(銀寄せは本当にゼロでした。)
春先の長雨と朝晩の低気温と遅霜、初夏の日照不足と真夏の瞬間的猛暑が主な原因との事。
春先の遅霜で花芽が落ちたりでなかったりしたようです。
残った花芽も日照不足で交配が進まず、イガは出来てても実が成熟してない状態とか。
こんな状態で実った栗はとても貴重。
沢山は無いけど最後まで楽しみながら頂きたいと思います。
スローライフ?
のんびり、ゆったり、優雅な田舎暮らし等とはかけ離れたスローライフ。
一つひとつ手間ヒマかけて、試行錯誤しながら一から自分で作りだす。
思案しながら工夫して、自分なりのこだわりを持って。
こんな事して手をかけていると、どんなものでも有難く、尊く、愛おしい。
これが私のスローライフ。
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